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吉村ゴンゾウあわー

自作のショート・ショートや読書感想などをアップしています。気負わず適当にやります。テーマは「中途半端を恐れない」。

すばらしきこのせかい

すばらしきこのせかいすばらしきこのせかい
(2007/07/27)
Nintendo DS

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 ひさびさに、これこそは!と言えるゲームと出会った。これまでに遊んだことのあるアクションRPGの中でダントツの面白さだ。スクエニから新作新ジャンルの発表は今となっては珍しい現象となってしまったが、移植やリメイクやスピンオフではない、またはこれまでに登場したことのあるどのゲームの真似でもない、まったく新しいゲームが登場したことは、ゲーム好きにとってとても喜ばしいことだ。
 リメイクよりも新作、続編よりも新作が登場した方が業界は絶対に盛り上がる。失敗を恐れず、また失敗してもまったく怯まない程度の実力はスクエニには当然備わっているはずだ。クリエイターを育て伸ばす意味でも、新しいゲームを次々と出して欲しいと思う。年老いたロッキーや熟年のインディージョーンズが悪いとは思わないが、ゲームの場合やっぱりまったく新しいものと触れる緊張感がある方が、刺激的だ。
 その意味でも、「すばらしきこのせかい」はかなり刺激的だった。その最たるものが、今までに体験したことのない2画面同時バトルだ。誰も経験したことがないのだから最初は上手く操作できなくてあたりまえ。しかもその操作方法はゲームを進めると、どんどん複雑化して戦略性が高まっていく。誰もが初心者なのだから、もうこれは慣れるしかないのだ。新しいテクニックが追加されるたびに、何度もバトルを繰り返してある程度の熟練度を獲得していかなければ、ゲームに置いていかれる。
 はっきりいってバトルは楽じゃない。しかし、だからこそ面白い。うまくなれば、どんどん極められる要素があり、難易度を高くし、自分のレベルを下げていけば、さらに使用武器や防具にも制限をかければ、果てのないレベルアップに挑戦できるのだ。この難易度と自分の実力を計るバランスが実に面白い。少し設定を厳しくすればとたんにぎりぎりの戦いを強いられるし、設定を和らげれば強敵にも付け入る隙が充分にある。調子に乗ってちょっと判断を見誤れば地獄絵図のような連続バトルに突入してしまう危険性をいつも抱え込んでもいるのだ。
 アーケードで格闘ゲームにはまってぇ、当然のように家庭用に移植されたものを買ってぇ、最初は得意キャラばかりを使ってノーマルな難易度で何度かクリアしてみてぇ、そっから難易度を徐々に上げていきながらほとんどのキャラをマスターしぃ、しまいには最高難易度をノーミスでクリアできるようになるまでやりこんだことがあるゲーマーは、どこのどいつだ〜い。わたしだよ!
 まぁその、にしおかすみこなんかはどうでもいいのだが、そんな感じの経験を持つゲーマーなら、この2画面バトルの魅力にのめりこまないわけがないと私は断言する。わかりやすくて比較的簡単な操作な割りにテクニックを求めてくる、この絶妙なバランス。しかもこちらが腕を上げれば、ちゃんとその腕に見合った世界を用意していてくれる。とかくアクションとしての懐が深いのである。
 しかし、アクションだけが「すばらしきせかい」ではない。このゲーム独特の世界観がRPGとしてちゃんとあって、それがしっかりと細部にまで行き届いているのだ。そこには血の通った人間がいて、社会性と秩序が成り立っている。架空の「シブヤ」という場所を舞台にストーリーが展開するわけだが、若者達の葛藤と成長が練りこまれていて、戦いの動機も後半に向けて強固なものへと高まっていく。登場する悪者にも人間味があって共感するし、それぞれ葛藤を抱えて戦いを挑んでくる。どこか悪者もカッコいいのだ。敵対はしていてもお互いを分かり合っている、ルパンと銭形のように、ライバルの魅力が要所要所で光っている。そしてストーリーは、序盤から秘密にされている謎を追いかけるミステリになっており、最後には驚愕の真相も待っているという高品質ぶり。謎解きについては比較的易しいが、その分やりこみ要素には高いハードルをいくつも備えており、先に進もうと思えば詰まることはあまりないが、ちょっと立ち止まってしまえばいつまでもやり込んでしまう。難易度についてもそうだが、プレーヤー次第でゲームが姿形を変えて、柔軟に遊び方を広げてくれるのだ。しかもその振り幅は、序盤よりも中盤、中盤よりも終盤と大きくなっていき、クリア後にはさらに広大なゲーム世界が待っている。遊びつくそうにも遊びつくせないほどなのだ。
 しかし、いくらプレーヤーに合わせて柔軟に、とは言え、あくまでもゲームの核はアクションであり、アクションをやりこなせなければ、いかに世界観に酔い、ストーリーに惚れていても、ゲームは前に進まない。言い過ぎかもしれないが、プレーヤーがゲーマーであることが遊びつくすことの条件であるわけだから、現代においては人を選ぶ門戸の狭いゲームと言わざるをえない。こんなに新しいことに沢山挑戦している、面白いゲームなのに。だけど、もしかして、万が一このゲームを通して非ゲーマーが、ゲーマーへの道を歩むキッカケとなるなら、それはとても良いことのように思う。メーカーは、もうゲーマーを見捨ててしまったのでは、と感じていたのだが、このゲームに出会ったことで、いや、ゲーマーはまだまだゲーマーでいていいんだと、ライトユーザーがゲーマーに成長してもいいんだと、そう思ったのだ。
 もう一点、このゲームの素晴らしさを伝えるなら、BGMについて書かないわけにはいかない。というより、最も優れている点にこのBGMをあげる人が多いのだ。とにかくカッコよさにこだわり抜いたゲームだけに、BGMのカッコよさは普通のゲームの域をはるかに凌駕している。いわゆる昭和ファミコン創世期の電子音による芸術的なカッコよさではない。そのほとんどが、これがゲーム音楽なのか?と耳を疑うほどの、完成された「歌謡曲」なのだ。バトルミュージックだけでも、歌入りの曲が多数はいっていて、しかも飽きさせないレベルの完成度とバリエーションがあり、世界観を損なわず、またバトルらしさを失わず、それでいてキャッチーでポップ。ゲームをしていない時にも、なんとなく鼻歌で歌ってしまうような、そんな親しみがあるのだ。サウンドトラックも買ってしまったが、これがゲームのサントラかよっ、とベタなツッコミを入れてしまいたくなるほど、できがよろしい。ドライブにも最適。
 ここまで私がしきりに宣伝しているのは、こんなにも良いゲームなのに、なぜかあまり売れてないらしいからだ。ある意味、必死なのだ。「面白いよね。だよね」と感動を共有するとともに、感覚を確認しておきたいのだ。やはり今のゲーム市場には合わないということで、このゲームが干されてしまうのなら、もう私が心底面白いと思うゲームは流行らないということだし、こういう新しいことに挑戦しているゲームが開発される頻度はさらに減っていくのだろう。それはとても残念だし、そんなことはないだろうと思いたい。ま、続編の開発が始まるなら、世間的にも一定の評価を得ているはずなのでひとまず安心だが。
 過去にゲーマーだったことのある人にはもちろん、そのほかの人にも、久しぶりに骨太でやり込みがいのあるゲームとして是非ともプレーをお薦めしておきたい。

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