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吉村ゴンゾウあわー

自作のショート・ショートや読書感想などをアップしています。気負わず適当にやります。テーマは「中途半端を恐れない」。

ドラゴンボール完全版を一気読み!

ドラゴンボール―完全版 (29) (ジャンプ・コミックス)ドラゴンボール―完全版 (29) (ジャンプ・コミックス)
(2004/02/04)
鳥山 明

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 実家の取り壊しならびに引越しに伴って、我が家に運び込まれた秘蔵の品々の中に、ドラゴンボール完全版の全巻が含まれている。というより、この全巻セットを一気読みしたいがために、わざわざ実家からさまざまな物を運び込んだというのが実のところだ。
 完全版が出始めたのはいつの頃だったろうか。おそらく、私の記憶が正しければ2002年の年末頃だったと思う。毎月2巻ずつ発売され、それを1年以上かけて地道に買い揃えたのだ。その毎月の発売日を今か今かと待ち遠しくしていた日々を懐かしく思う。それは、少年時代に週刊漫画雑誌の発売日を指折り数えて待っていた頃に近い感覚だ。
 もちろんすでに発売されているコミックの全巻セットを大人買いする道もあったし、マンガ喫茶にでも通って読み続ける手もあった。しかし、あえて発売日を待ち、一体この先はどうなるんだ、と思いを巡らしながら過ぎていく一ヶ月間というのは、それはそれで甘い快感をもたらしてくれる、まさに大人の贅沢だった。少なくとも私の子供時代にはこの快感を味わう器はなかっただろう。
 しかし、一年以上もかけて買い揃え、ちょっとずつストーリーを追いかける読み方では、結局のところ全編を通して読破したときに見えてくるものは得られない。一気読みこそ、全巻セットの漢華(おとこばな)!と信じている私だが、どうしたことか、ドラゴンボール完全版が全巻発売し終わる前に結婚してしまい、実家を出ることになったのだ。引越し先はとても狭い部屋だったので、とうてい私の荷物を運び込むスペースはなく、一人暮らしだった妻の荷物をそのまま持ってきて生活がスタートしてしまった。かくして、揃う寸前だった完全版の既刊分はすべて実家に残し、私は結婚後の最終月に発売された2巻分だけを持っていた。
 その積年の全巻セット一気読みの夢がついに叶う。私の心は打ち震えていた。思う存分、好きなだけ、読み進めることができる自由さ。しかもあのドラゴンボールをだ。私は1巻をおもむろに手にとって、貪るように読み始めた。あっさりと1巻を読み終え、2巻に手を出したときに、一瞬「やばい」と後悔を覚える。もうとめられないと確信したからだ。あまりにも面白い。面白すぎる。ついにその瞬間から、三日三晩に渡る不眠不休の闘争が幕を開けたのだった。
 私がもっとも好きなストーリーは、ずばりナメック星編だ。ありきたりだが、好きなものはしかたない。地球の戦士がほぼ全滅させられドラゴンボールも失ってすっかり絶望的だったところから、宇宙規模で新しい希望が生まれて、その僅かな希望にかける地球人達。一方で、よこしまな悪巧みから同じくナメック星を攻略しようとうするフリーザ一味と、フリーザに惑星を滅ぼされ密かに謀反を開始したべジータ。この敵同士の3者の思惑が交差するナメック星では知恵と力がぶつかり合い、繰り返される絶望と逆転。そのバックグラウンドで徐々に存在感を肥大させてくる伝説のスーパーサイヤ人を巡るサスペンス。そしてついにあらわしたフリーザの正体と本当の恐怖。小手先のテクニックや小ざかしい知恵などでは到底覆らない、そこに至るまでのすべてを茶番と化すほどの圧倒的な力量の差が、再び地球人達覆い、ついにべジータも息絶える。しかし、その圧倒的な強さゆえに、伝説のスーパーサイヤ人が覚醒してしまう。星もろとも消し飛んでしまうほどの戦いの末、フリーザもスーパーサイヤ人悟空も宇宙の藻屑となって消えてしまう。なんとも壮絶な最後ではないか。
 しかし、ここからさらに物語りは次々と発展するわけで、未だに語り継がれるあのあまりにも衝撃的なトランクスの登場以降はさらに強さの桁が変わってしまい、ダントツで強かったあのフリーザがさらに強くなったのを一瞬で倒せるほど強いトランクスがまるで勝てない人造人間を取り込んで無茶苦茶強くなった完全体のセルを木っ端微塵にできる悟飯って、あきらかに純潔のサイヤ人よりも年齢的に考えても強いし、同じ混血のトランクスよりはるかに強いことになるわけで、その悟飯より才能に恵まれている悟天がトランクスと合体してしかもスーパーサイヤ人3になっても勝てない純粋悪の魔人ブウに、悟空やべジータなんかが敵うわけないと思うんだが。以下略。
 ちなみに、一番好きなキャラクターはベジータだ。誇り高く、ニヒルで、しかして行動力があり、強さに対しては純粋で熱い漢。彼ほど作中で成長し変貌を遂げた人物はいないのではないか。ベジータ登場以降の物語は、残虐非道で自己中心的だった唯我独尊思想の彼が、他を頼み、他を助け、他を認めるようになるまでのストーリーともいえる。第3形態のフリーザに手も足も出せずに殺され、涙を流して悟空に仇討ちを頼む姿あり、息子トランクスがセルに殺されるのを見て激昂し勝てぬ戦いに挑む姿あり、バビディの魔術にわざとかかってなお意思を曲げずに命令を唾棄し、あくまで悟空との決着を望んだ経緯を独白する姿あり、いかにも人間的な己の存在意義を正すような葛藤を繰り広げた挙句、家族を守るために自爆を選ぶ潔い姿あり。最後にはあれほどこだわった最強の自負とプライドを捨て、ライバルの悟空に対し、おまえがナンバーワンだ、と賞賛するに至る。ベジータファンとして、無意識にベジータ目線で作品を一気読みしてしまったのかもしれないが、いつでも期待を一身に受け、しかもその期待にちゃんと応えてくれる悟空よりも、人格的に未完成で成長過程がゆえに、不器用で時に歯がゆい彼の言動をそれでも応援しながら見つめている方が私は好きだ。ブルマの「ああみえて、いいところもあるのよ、・・・・・・たぶん」という発言に私はとても共感している。
 それはともかく、ドラゴンボールは本当に今もって面白い。私は「一気読みしてこそわかる魅力もあると」思うので、時間の許す方は是非とも挑戦してみて欲しい。

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